2023年11月11日(土)午後9時から11時10分に放送される「世にも奇妙な物語’23秋の特別編」。
今回のエピソードの一つの「トランジスタ技術の圧縮」では、俳優の溝端淳平さんが主演を務めます。
日本で本当に出版されている雑誌『トランジスタ技術』を題材にしているんだね。それはそうと「圧縮」ってなんだ…?
現実に存在する雑誌『トランジスタ技術』が物語のなかで、どのように、そしてなぜ「圧縮」されるのでしょうか。
そこで今回は「トランジスタ技術の圧縮」について、
以上を詳しくまとめていきます!
【世にも奇妙な物語2023秋】トランジスタ技術の圧縮に原作はある?

「トランジスタ技術の圧縮」に原作はあります。
小説家・SF作家の宮内悠介さんの自選短編集『超動く家にて』(創元SF文庫)の一話目に「トランジスタ技術の圧縮」が収録されています。
気になる方はぜひ原作もチェックしてみてくださいね!
トランジスタ技術の圧縮の脚本
「トランジスタ技術の圧縮」の脚本を手掛けたのは脚本家の相馬 光さん。
これまでに「世にも奇妙な物語」を含め、さまざまな作品の脚本をされています。
- リズム
- オクトー〜ふたつの家族〜
- 教祖のムスメ
- 世にも奇妙な物語 ’22夏の特別編「何だかんだ銀座」
- 世にも奇妙な物語 ’21夏の特別編「成る」
- Re:名も無き世界のエンドロール ~Half a year later~
「フジテレビヤングシナリオ大賞最終選考」といった受賞歴も多数あり、その脚本家としての実力の高さが伺えます。
原作がどのように再構成され、世にも奇妙な物語の一作品になるのかとても楽しみです。
トランジスタ技術の圧縮の演出
「トランジスタ技術の圧縮」の演出は、共同テレビジョンのテレビドラマ監督の岩田和行さんが担当。
2004年にドラマ作品「白い巨塔」で監督デビューされ、その後も数々の作品を監督として手掛けてきました。
- 白い巨塔
- 世にも奇妙な物語(複数作品)
- メイちゃんの執事
- 黒鳥の湖
- あたりのキッチン
そんな岩田和行さんは「トランジスタ技術の圧縮」について、
「(前略)一見バカバカしくも熱き闘いに、主演として挑んでくれたのが溝端淳平さん。
この企画を面白がっていただき、誰も見たことのない闘いを盛り上げるために色々とアイデアを提案してくださいました!(後略)」
と、コメントしていました。
現場で溝端淳平さんと力を合わせて楽しく制作されている様子が伝わってきます。
【世にも奇妙な物語2023秋】トランジスタ技術の圧縮あらすじ

この物語では、実在するエレクトロニクス専門誌「トランジスタ技術」の圧縮に命を賭けた男たちの戦いを描く。
「トランジスタ技術」は本としてはかなり分厚い部類に入る。まるで辞書だ。毎月発刊される「トランジスタ技術」。分厚いが故に保存するには日本の家屋は手狭だった。そこで人々は考えた。「トランジスタ技術」を圧縮しようではないかと。それはいつの日か、生活の知恵を越え、世界的な競技となった。
“圧縮の神”と呼ばれた男を師匠にアイロンを用いた圧縮技術を受け継いだ男・梶原倫夫(溝端淳平)。そこに立ちはだかるのは脅威の握力でページをむしり取り圧縮する男・坂田成美(阿部亮平)。
勝利を手にするのはアイロンか握力か。熱き男たちの奇妙な戦いが今幕を開ける!!
あらすじの一文目を読むだけで面白い話だとわかります。
阿部亮平さんが雑誌のページをガチでむしり取る姿ってここでしか見れないでしょ!!
実際、専門誌「トランジスタ技術」は170ページ程度あり、厚さは1cm超です。
200ページを超えるもの(2023年3月号)もあり、原作で「アメリカのステーキのように分厚い本」と称されているのにも頷けます。
【世にも奇妙な物語2023秋】トランジスタ技術の圧縮ネタバレと結末

原作があるので、大まかなストーリー展開や結末はわかっています。
- 電子書籍の台頭に伴って、10年以上前に中止された「トラ技圧縮コンテスト」。ファンの熱い支持により、最後の大会が一年後に開催されることになった。
- トラ技圧縮に魅入られた梶原倫夫は、最後の大会での優勝を目指すが、そのためには不敗の王者である坂田成実に勝たなければならなかった。
- 指でページをむしり取りトラ技を圧縮する「むしり派」最強の坂田。彼に打ち勝つべく、梶原は「アイロン派の祖」である関山利一に弟子入りする。
- 修行は順調に進み、大会当日、梶原は見事に予選を優勝。ついに坂田と戦うことに。
- 試合開始早々、なんと坂田はその指の力でトラ技を真っ二つにしてしまう。経年劣化によりトラ技自体がもろくなっていたため、むしることができなくなっていた。
- そこで、過去に関山の弟子であり、アイロン派であった坂田は、再びアイロンを手に取り試合を運ぶことに。
- 実はアイロン圧縮の練習を欠かしていなかった坂田。最初の遅れを取り戻し、さらには梶原を抜き、「俺が関山利一の一番弟子」と叫ぶ。
- 坂田の触覚記憶という特殊能力や、それを逆手に取った梶原の策略、激闘の末、梶原がわずかの差で勝利する。
- 最後、関山は舞台の上に行き、梶原に目もくれず坂田を抱きしめる。
- 坂田はこれまでにない人間的な表情で梶原に視線を送り、梶原は「あばよ」と言い残して、鳴りやまない歓声を背に試合場を去った。
今回は原作が「世にも奇妙な物語」用に脚色されるので、
実際にどのような展開になるのかは正確にはわかりませんが、上記のような流れになると考えられます。
溝端淳平さんが雑誌『トランジスタ技術』にアイロンがけしている姿は奇妙すぎるけど…見てみたいです(笑)
俳優さんたちの奇妙な世界の表現力や、原作との違いも見どころになりますね。
【世にも奇妙な物語2023秋】トランジスタ技術の圧縮の詳しいあらすじ

ここからはドラマ版「トランジスタ技術の圧縮」のあらすじを詳しくまとめていきます。
1.実況によるトラ技圧縮コンテストの説明
物語は、トランジスタ技術(トラ技)の圧縮コンテストの実況説明から始まります。
実況は、日本の狭い住宅環境でトラ技の記事のページのみを残すことに意味があったことを伝えました。
その後、青コーナーからはアイロン派の梶原倫夫が、赤コーナーからはむしり派の絶対王者の坂田成美が登場します。
坂田は登場時におもむろにコインを取り出し、拳のなかで二つ折りにして梶原に見せつけました。
その様子をみて、観客からは熱狂の声があがります。
2.梶原が関山利一の弟子に
話はさかのぼり、広いお寺に出向いた梶原は、寺の主である関山利一に弟子入りを乞いました。
関山にはトラ技コンテストで実績があり、アイロン派の生みの親で圧縮の神と言われていたのです。
関山は一度は断ったものの、梶原の坂田にアイロン圧縮で勝つという熱い思いを受けて、弟子入りを認めます。
一方、関山は過去に一番の弟子だった梶原を高く評価しているようで、「アイロンで奴に勝てるものなどいない」とつぶやきました。
そんな中、シーンは現在のトラ技の舞台に移ります。
坂田が圧倒的なむしり圧縮のスキルで、「圧縮!」と大声をあげて先制点を取りました。
しかし、負けじと梶原も美しいアイロンさばきで圧縮を進めて、ポイントを取り返します。
二人は接戦を繰り広げますが、若干坂田が優勢です。
3.関山の死と最終奥義
時はさかのぼり、関山のお寺で、孫娘と梶原が見守る中、関山が布団の上で亡くなっていました。
そこに坂田が登場して、関山の写真を指で切り裂き、「師匠のいないお前に勝ち目はないんだよ」と梶原に吐き捨てます。
梶原は師匠の仇をなんとしても取らねばと言いますが、どうにも為すすべがない様子でした。
そんな梶原に孫娘が声をかけ、関山が梶原に残した最終奥義が書かれているの巻物を渡しました。
シーンは変わり、舞台上で梶原がこの最終奥義を放ちます。
梶原は高熱のアイロンを二つ用意し、水を注ぎ、豪快に振り回すと、そこから出る蒸気が竜のように舞い、なんと一気に五冊のトランジスタ技術を圧縮するのでした。
梶原はひどく疲れた様子ですが、かなり点差を縮めることができました。
4.梶原の逆転
途中、審判のホイッスルが舞台上に鳴り響き、坂田の圧縮したトラ技が違反判定を受けました。
坂田が力任せに圧縮したトラ技の背表紙が剥がれ落ちてしまっていたのです。
それを見て梶原は「雑誌は生き物。一冊ごとに個性がある」と言い、むしり派坂田の丁寧さに欠ける圧縮を否定します。
坂田の10冊のトラ技が無効対象となり、大きく点差が開き、梶原が逆転します。
心を砕かれた坂田に、突然、関山の孫娘が近寄り、古めかしいアイロンを渡しました。
孫娘は坂田に対して関山からの遺言があると言うのです。
「いくらひどくてもお前は大事な弟子だ。もしお前がアイロンを求めたときはこれを授ける」という関山の遺言とともに渡されたアイロンを、坂田は大声を上げながら手に取りました。
5.坂田のアイロン技術と接戦の二人
恐ろしいスピードでアイロン圧縮をしていく坂田に梶原は度肝を抜かれます。
坂田のアイロン圧縮の姿には関山の面影がありました。
坂田は途中、気持ちが高ぶったのか「関山の一番弟子、坂田成美だ!」と叫びます。
お互い一歩も譲らず、最後はビデオ判定となりましたが、坂田の判定勝ちとなります。
結末 梶原の勝利とジローラモの特別出演
と思いきや、最後の最後で坂田が肝心な「Reader’s Forum」ページを外してしまっていることが発覚し、梶原の逆転勝利となりました。
最後に二人はお互いの腕前を褒めたたえ抱き合います。
物語はこれで終わりと思いきや、観客席に全身白スーツのパンツェッタ・ジローラモさんが登場しました。
彼は雑誌『LEON』を会場の人々に見せつけ、出演者たちが「LEONの圧縮…」と言い放ち、物語は奇妙な形で幕を閉じました。
【世にも奇妙な物語2023秋】トランジスタ技術の圧縮の考察

ここからは、「世にも奇妙な物語」ドラマ版「トランジスタ技術の圧縮」の考察と原作との違いを説明します。
考察
エンタメ性の強い本作品ですが、一貫して「物を大切にすること」を訴えていると言えます。
まず、トランジスタ技術の圧縮という作業自体が、可能な限り多くの雑誌を捨てずに取っておきたいという考えから生まれています。
収納スペースがないから捨てるのではなく、薄くして取っておくという考えです。
そして、むしり圧縮とアイロン圧縮の対比は、より顕著に物の大切さを訴えています。
むしり圧縮はコンテストのために質よりもスピードを重視していて、結果、その作業に雑な部分が目立ちます。
実際その仕上がりの粗さのせいで、圧縮の完了したトラ技の背表紙が取れてしまい、多くの圧縮本が無効になってしまいました。
一方、アイロン圧縮ではスピードよりも質を重視しているため、一冊一冊が完璧に仕上がります。
非常に丁寧にアイロン圧縮を行う梶原の姿は、雑誌への愛を感じるほどのものでした。
最終的にむしり派の坂田が、最も大切とも言える「Reader’s forum」のページを入れ忘れてしまっていて、アイロン派の梶原が勝ったことからも、
この作品は、物の大切さを投げかけると同時に、なんでも質よりも量やスピードを求めがちの現代人のライフスタイルを批判していると考察できます。
原作との違い
本ドラマ作品には原作との違いが数多く見られたため、いくつかご紹介します。
- コンテスト番組風の演出:梶原と坂田が「赤コーナー」と「青コーナー」に分かれて戦っている点や圧縮した雑誌を提出するときに「ありがとうございます!」や「圧縮!」というシーンは原作にはない
- 関山が死に梶原が奥義を伝達される:原作では関山は死なないし、二つのアイロンを使い一気に圧縮を進める奥義も登場しない
- 坂田が関山の孫からアイロンを受け継ぐ:原作では、坂田は坂田の弟子からアイロンを渡される
- Reader’s forumの抜けにより梶原の逆転:原作では「Reader’s forum」は出てこない
- パンツェッタ・ジローラモが最後に登場し、「LEONの圧縮」コンテストが今後開催される雰囲気を匂わせる
福澤朗さんの熱のこもった実況や、コンテスト番組風の演出によって、原作と比べてエンタメ感がグッと感じられる作品でした!
【世にも奇妙な物語2023秋】トランジスタ技術の圧縮キャスト一覧

「トランジスタ技術の圧縮」のメインキャストは次の方々です。
- 梶原倫夫:溝端淳平
- 坂田成実:阿部亮平
- 実況:福澤 朗
- 他
以下では主演の溝端さんのコメントをご紹介します。
溝端淳平さんのコメント
溝端さんは本作品について「すごく熱い少年漫画のような世界観」、
「とにかく熱く、コアなものにのめり込んで人生をかける男の話はとても面白く、この世界観にどっぷりはまって演じました」とコメント。
「世にも奇妙な物語」特有のホラー感はあまりなく、愉快なストーリーだとわかります。
まとめ|世にも奇妙2023秋トランジスタ技術の圧縮ネタバレ結末!考察を解説
- 「トランジスタ技術の圧縮」の原作は、宮内悠介さんの『超動く家にて』の一話目に収録
- 「トランジスタ技術の圧縮」は、分厚い雑誌をアイロンをかけたり、広告ページをむしり取ってコンパクトにすることに全力を注ぐ男たちの物語
- 「トランジスタ技術の圧縮」の主演俳優の溝端淳平さんは、ストーリーにどっぷりとはまって主役を務めた
今回は世にも奇妙な物語2023秋「トランジスタ技術の圧縮」についてまとめました。
原作があり物語の結末は明らかになっていますが、世にも奇妙な物語のストーリーのひとつとしてどのように脚色されるのか楽しみです。
このエピソードは間違いなく面白いお話なので、ぜひ怖い話が苦手な皆さんもリアルタイムで見て、いっぱい笑いましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

